2025年1月17日金曜日

校長雑記#167【こうして日本人は作られる?】

 みなさん、この映画をご存じですか?

「小学校 ~それは小さな社会~」


教育大国フィンランドをはじめ、多くの国で上映され話題になっています。

電車が1分遅れただけでお詫びのアナウンスが流れるのは、世界中で日本だけとか…
サッカーなどの世界大会では、試合終了後に日本人サポーターの会場を掃除する姿が世界中から称賛されているとか…

これらは、日本人がもともと持っている特性ではなく、小学校教育の中で、挙手の仕方や廊下の歩き方、掃除や給食当番など、集団生活の一員としての規律と秩序を徹底的に学ぶことで、12歳になる頃には、日本の子どもは“日本人”になっている、というものです。

(なので、英語のタイトルは “THE MAKING OF A JAPANESE” です。)

日本のどこにでもある公立小学校の日常風景を描いたドキュメンタリー映画なのですが、世界各国の人たちにはとても新鮮で衝撃的だったようです。

映画の中でも少し触れられていますが、この日本の全人的な教育がエジプトでは“TOKKASU”(特別活動)という名で国の政策として導入されるなど、具体的な広がりを見せています。


そして、この映画から生まれた短編版『Instruments of a Beating Heart』は、現在、米アカデミー賞のショートリストに選出されています。(週明けには最終ノミネートの選考結果が発表されます)

しかも、こちらはYoutubeで全編視聴可能です。


この映画は世界中から絶賛されています(このショートフィルムの中に登場する児童も先生も本当に素晴らしいです)が、私たち日本人は誇らしい思いとともに、ここでは語られていない年々増え続ける不登校児童や教員の長時間勤務の問題があることを知っているだけに、手放しでは喜べません。

今まで培ってきたこの文化を次代に受け継ぐべきかどうかは、大人たちではなく、未来を生きる子どもたちが決めればいいと思っています。

そういった意味でも、大人も子どももこの映画を観て、みんなで語り合いたいです。

そして、いよいよ本作も今月末から県内で上映が始まります。 (原)