2022年12月6日火曜日

校長雑記#67【誰一人取り残さない学校づくり】

 12月3~9日は、障害者週間です。

私も日曜日に、午前中は岡山県自閉症セミナーのオンライン講演会、午後は浅口市健康福祉センターの講演会に参加してきました。

それぞれ、元小学校長、児童精神科医、放課後デイサービス代表の方々から、学齢期の発達障害の子どもたちの支援の在り方についての内容でした。

その中で、児童精神科医の先生が講演の最後に、

「今日の話の中でよくわからないことがあったら、ぜひこの本を読んでください。この本に私の言いたいことすべてが書かれています。」

と言われたのが、この本。

(本田秀夫 著 SB新書)

早速買って読んでみると、3人の講師の先生がオブラートに包んで柔らかく言っていたことを、何とも辛口な学校批判としてズバズバと…

いくつか抜粋すると、

 私は基本的に、校則はすべて廃止すべきだと考えています。法律に定められていないことを、関係者(子どもや保護者)の合意もないのにルールにして、しかもそれを子どもに強制的に守らせるというのは、民主主義に反する行為ではないでしょうか。

「学校の標準」が一部の子どもたちをひどく追いつめているというのは確かです。これは学校と発達障害を考える時に、重要なポイントの一つになります。

 私は「学校の標準」が狭いこと、大人たちが学校をきっちりとつくりすぎてしまったことが、一部の子どもたちを苦しめているのではないかと思っています。

 いま子どもたちは学校生活の中で非常に多くの「標準」を教え込まれています。「最低限」の義務教育だと言いながら、子どもへの要求が多すぎるのです。

 義務教育として、社会に出るための「最低限」を教えるのだと言っておきながら、結果として子どもの社会参加への意欲をつぶしてしまうのだとしたら、それはもはや教育ではないでしょう。もしも小・中学校で、校内に学校生活を楽しいと思えていない子どもがいるのなら、その学校は「標準」や「最低限」を見直す必要があります。


とても辛辣な文章ですが、改めて本校の実態に照らし合わせてみると、

(児童アンケートより)

約1割の児童が否定的な回答していることから、まさに本校も例外ではないことがわかります。

これは、精神科医である著者一人の意見ではなく、「『そろえる』教育から『伸ばす』教育へ転換し、子供一人ひとりの多様な幸せ(well-being)を実現」という国の方針とも一致しています。

今こそ学校が変わる時だと強く思います。
そして、障害の有無にかかわらず、誰一人取り残すことのない学校づくりを目指すためには、私たち大人(教員、保護者、地域)の意識改革が何よりも必要です。 

最後に、私からも、
「よくわからないことがあったら、ぜひこの本を読んでください。この本に私の言いたいことすべてが書かれています。」 (原)




【追記】
ちなみに、今回の講師の先生は、次のとおりです。

岡山県自閉症協会セミナー『発達障害の子どもたちと小学校生活』
 吉田 英夫 氏(元小学校長、特別支援教育士)
 笹野 京子 氏(なのはなクリニック院長、児童精神科医)

浅口市障害者週間イベント「講演会」
 滝沢 達史 氏(放課後等デイサービス ホハル代表)
 (本校児童も登壇しました。)